2004(平成16)年、河川や海岸における散乱ごみ(プラスチックなどの人工系のごみ)の実態を把握するために、「水辺の散乱ゴミの指標評価手法」を開発しました。この評価手法では、海岸線10mあたりの水辺の散乱ごみの量を、20Lのごみ袋が何袋分あるかを基準として、12段階にランク付けします。身近なごみ袋を指標にすることで、重量を量る秤などの特別な器具を必要とせず誰もが調査を行うことができます。
2018(平成30)年、昨今のプラスチックごみによる海洋汚染問題の深刻化を踏まえ、同手法を広く活用していただくために新たにマニュアルを編集、発行しました。また、国外での活用を想定し、英文マニュアルを同時に発行しました。尚、発行の経費には、「第18回日本水大賞・国土交通大臣賞」の副賞を充てました。
水辺の散乱ゴミの指標評価手法の必要性
海岸等に多量に押し寄せる漂着ごみを効率的に回収、処理するためには回収前の段階で「どの海岸に」「どの程度のごみが」「どのように」漂着・散乱しているのかを客観的な指標をもとに評価することで、次のようなメリットがあります。
・同手法を用いて事前調査を行うことで、回収処理事業の規模をより正確に推計することが可能になります。
・回収事業後に再度調査を行うことで事業によって海岸漂着物が何%削減され、どの程度、目的が達成されたのか評価することが可能になります。
・海洋環境の保護を第一に考えるならば、より甚大な被害を受けている、漂着量の多い水辺から優先的に回収することが得策です。
限られた予算の中で清掃すべき海岸の優先度を判断する材料になります。
水辺の散乱ゴミの指標評価手法の開発の経緯
2003(平成15)年から2004(平成16)年にかけて、最上川流域等をフィールドに、「国土交通省東北地方整備局山形河川国道事務所」の発議による「水辺における散乱ゴミ等の指標化」に向けた検討を実施しました。検討に先立ち、山形河川国道事務所と特定非営利活動法人パートナーシップオフィスの間において協議を行い、パートナーシップオフィスが開発経費の一部を負担するなど、同手法の普及を図っていくための工夫を重ねました。
マニュアルデータのダウンロード
PDFファイル 水辺の散乱ゴミの指標評価マニュアル_和・英版